「自分でサイトを作れるようになるには、どのようなことが必要なのですか」
「0からどうしたら作れますか」
こういう質問が、毎日どこかに投稿されています。
そして、たいてい返ってくる答えが「まずHTMLとCSSから」なんですよね。あるいは「今はノーコードで十分」「これからはAI」。全部それぞれ正しいんですが、全部同時に言われると、どれを信じればいいのか分からなくなります。
結論から。
ひとつの正解はありません。順番は、あなたがどうなりたいかで変わるからです。
だからこの記事では、正解を渡すのではなく、あなた用の順番を一緒に決めるところまでやります。
なぜ、こんなに迷うのか
世の中の教材やスクールは、ほとんどが「1から順番に」並んでいます。HTMLの基礎、CSSの基礎、それからJavaScript、そしてWordPress。きれいに積み上がっている。
でも、あれには問題があって、全員に同じ順番で教えているんですよね。
会社のサイトを自分で更新したいだけの人にも、副業で受注したい人にも、同じ1ページ目から始めさせる。ゴールが違うのに、道が1本しかない。
だから途中で「これ、本当に自分に必要なのかな」と迷い始めます。迷うと手が止まる。手が止まると「やっぱり向いてないのかも」と思う。
違います。順番が合っていないだけです。
教材が手を抜いているわけじゃないんです。不特定多数に届ける形式では、ゴールを一人ひとり聞くことができない。あの作り方は、あの形式でできる範囲の、いちばん誠実な答えなんだと思います。
ただ、あなたが知りたいのは「一般的な順番」ではなくて、「私の順番」のはずです。
最初に決めるのは、何を学ぶかではありません
私が30年この仕事をしてきて、教える側に回ってからずっと変わらないやり方があります。
最初に聞くのは「どうなりたいか」だけです。
現在地とゴールが分かれば、そこを結ぶ線が引けます。その線の上にあるものが「あなたが学ぶべきこと」で、線の外にあるものは、少なくとも今は要らない。
順番は、そうやって決まります。
では、いきましょう。
目的別・学習ルート早見表
自分に近いものを1つだけ選んでください。複数当てはまるときは、いちばん近い将来に必要なほうを選びます。
| あなたの目的 | 最初にやること | その次 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 自分の店・会社のサイトが欲しい | 何を伝えたいかを決める | WordPressで形にする | 4ヶ月 |
| 今あるサイトを自分で更新したい | 今のサイトの構造を把握する | 更新操作だけ覚える | 1ヶ月 |
| 副業にしたい | 1本まるごと作り切る | 見積りと提案を覚える | 6ヶ月 |
| 仕事にして食べていきたい | 作る力+成果を出す力 | 営業と顧客対応まで | 12ヶ月 |
| 学生・就活に使いたい | 作品を1本仕上げる | 過程を説明できるようにする | 6ヶ月 |
| AIで作れるようになりたい | AIへの指示の出し方 | 出てきたものを直す力 | 4ヶ月 |
気づいたと思うんですが、どのルートも「HTMLの基礎から」で始まっていません。
必要な人には必要です。でも、全員の1歩目ではないんです。
4つの選択肢を、公平に3行ずつ
ここは短く書きます。それぞれ詳しい記事があるので、気になったものだけ読んでください。
WordPress
世界のサイトの約4割が使っている仕組みで、日本語の情報がいちばん多い。
文章や写真の差し替えを自分でやりたいなら、これが素直な選択です。
ブログのように記事を増やしていく商売とは、特に相性がいい。WordPressを選ぶ前に、ノーコードの限界とツール選定の考え方も確認しておくと安心です。
HTML/CSS
ページの中身と見た目を、直接書く方法です。
覚えるべきタグは110個ほどありますが、実際に使うのはごく一部。
テンプレートを崩さず直したい人、AIが書いたコードを判断したい人には効きます。文系でもコードは書けるかや、HTMLとCSSを今から学ぶのは無駄かもあわせてどうぞ。
AI制作(Cursor・Claude など)
日本語で指示を出して、形にしてもらう作り方です。
速いのは本当で、私自身も今はこれが主軸になっています。
ただし「直せない」「意図とズレる」が必ず起きるので、判断する力が別に要ります。CursorやClaudeでホームページは作れるかで具体的なツールを、AI時代に習う意味でAI時代の学び方を書いています。AIを教える教室がまだ少ない現実もあわせて読んでみてください。
ノーコード(Wix・ペライチ・STUDIO など)
ノーコードで足りる人は、ノーコードでいいです。
ページ数が少なく、更新が単純で、独自の見せ方が要らないなら、習う必要はありません。
限界が来るのは「細かく直したい」と思ったときと、他へ移りたくなったときです。限界の具体的な話は、ノーコードの限界で書いています。
わざわざお金と時間をかけて習うのは、この4つのどれかで限界にぶつかった人か、ぶつかることが最初から分かっている人だと思っています。
遠回りしてしまう人の、3つのパターン
どのパターンも、相談を受けていて本当によく見ます。
① 基礎を完璧にしてから作ろうとする
参考書を1冊終わらせてから、と考える。でも作らずに読んだ知識は、驚くほど残りません。先に1ページ作ってしまったほうが、あとの理解が速い。一度挫折した経験がある方は、挫折した経験がある方へも読んでみてください。
② ツールを決めずに情報だけ集める
WordPressがいいのかAIがいいのか比較記事を読み続けて、3ヶ月経っている。決められないのは情報が足りないからじゃなくて、ゴールが決まっていないからです。
③ 見た目から作り込む
これがいちばん多いかもしれません。パソコンの大きな画面で配色やレイアウトを何時間も調整して、満足する。
ひとつだけ、試してみてください。
今、スマホでご自分のサイトを開いてみてください
すでにサイトをお持ちなら、いま手元のスマホで開いてみてください。まだ持っていない方は、あなたが「こんな感じにしたい」と思っている、お手本のサイトでかまいません。
見るのは3ヶ所だけです。
- 最初の画面に、何のサイトかが書いてあるか
- 電話やお問い合わせのボタンが、指で押せる位置にあるか
- 文字が、拡大せずに読めるか
どうでしょうか。
私は自社のサイトとクライアントのサイト、あわせて20以上を運用しています。その実データを見ると、8割がスマホ。そのほとんどがiPhoneです。パソコンで見ている人は2割弱しかいません。
一般的な統計より、スマホの比率は高めに出ます。私のクライアントに習い事教室やお店が多いからだと思います。会社相手のビジネス(BtoB)なら、パソコンの割合は上がります。でも、これが私の見ている事実です。
だからレッスンでは、iPhoneでの表示を整えるところに、わざと時間をかけています。順番として、そこが先だからです。
——いま3ヶ所を見た方は、もうやっています。それ、プロが最初に確認しているのと同じ場所です。見た目の改善については、素人っぽいサイトの直し方でも書いています。
そのうえで、ひとつだけ聞かせてください
ここまでは「どう作るか」の話でした。
作れるようになるだけで、いいですか?
3つの質問で、進む道が決まります
質問1|サイトは、もうありますか?
- ある → 質問2へ
- ない → 質問3へ
質問2|自分で更新したいだけですか? 作り直したいですか?
- 更新したいだけ → 目の前のホームページを自由に更新できるようになる講座(全4回・1ヶ月〜)
- 作り直したい → 質問3へ
質問3|そのサイトは、誰のためのものですか?
- 自分の店・自分の会社 → WordPressで簡単なホームページを作成できるようになる講座(全16回・4ヶ月)
- 人に頼まれて作る(副業) → 社会人が副業のための講座(全24回・6ヶ月)
- 仕事にして食べていく → ホームページ作成を仕事にして食べていけるようになる講座(全48回・12ヶ月)
- 就活・進路のため → 大学生・高校生・中学生のための講座(全24回・6ヶ月)
- AIを使って作りたい → AI+WordPress/Astroの講座(全16回・4ヶ月)
講座は全部で10あります。多いと思われるかもしれません。でも理由は単純で、ゴールが10種類あるからです。
講座名が、そのままゴールになっています。「◯回受ければ、こうなれます」——それ以上の説明を足すと、かえって約束がぼやけるので、足していません。
各講座の詳しい内容は、講座詳細ページをご覧ください。
教える内容は決まっている。配分はあなた次第
ひとつだけ、誤解されやすいところを書いておきます。
教える内容は決まっています。回数も期間も決まっています。全16回、4ヶ月、というふうに。
変わるのは、どこに時間をかけて、どこに重点を置くかです。
「5回目のレッスンはプラグイン、8回目はCSSのカスタマイズ」——そういう形にはしていません。あなたの現在地とゴールを知らないまま決められた配分に、意味がないので。
宿題も同じです。量もレベルも、その方に合わせます。今週は仕事が立て込んでいる、というときは、それに合わせたものになります。できなくても構いません。自分で考えてやってみることのほうが、大事なので。
学び始めるのに必要なのは、1歩目だけ
この記事で決まったのは、あなたのゴールと、最初にやることの2つだけです。
十分だと思います。学び始めるのに必要なのは、全体の地図ではなく、1歩目だけなので。
もし読んでみて「自分の目的がまだ言葉にならない」と感じたなら、それも普通のことです。私が最初の10分で聞いているのは、まさにそこですから。
どれが合うか分からない、という状態のままで大丈夫です。体験レッスンを「学び方の診断」としてお使いください。話を聞くだけ、相談だけでも構いません。
