Web担当者が頭を抱えるサイトトラブルTOP10【原因と対策を徹底解説】

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  1. はじめに:あなたのサイトは大丈夫?
  2. トラブルはどこから?4つの発生源
  3. Webサイト運営トラブルTOP10
    1. 10位:SSL証明書の失効 – ある日突然、あなたのサイトが「危険」だと警告されたら?
    2. 9位:お問い合わせフォームの不具合 – 見えないところで機会損失がダダ漏れに
    3. 8位:制作・管理会社との契約問題 – そのWebサイト、本当にあなたのものですか?
    4. 7位:WordPress特有の障害 – 便利なはずが突然「真っ白」に…
    5. 6位:検索順位(SEO)の急落 – 昨日まで1位だったのに…Googleからサイトが消える恐怖
    6. 5位:Webサイトの表示速度低下 – 3秒が命取り!売上を静かに溶かす「重い」サイト
    7. 4位:サーバーダウン – サイトが消えた!?ビジネスが完全にストップする悪夢
    8. 3位:ランサムウェア・マルウェア感染 – あなたの会社のデータが人質に…
    9. 2位:不正アクセスと情報漏洩 – お客様の情報を漏洩…会社の信頼が崩れ去る瞬間
    10. 1位:Webサイトの改ざん – 会社の顔が、ある日突然めちゃくちゃに…
  4. 今日から始める、守りのWebサイト運営
    1. 1.定期的な「サイト健康診断」を習慣にしよう
    2. 2.バックアップは、復旧できて初めて意味がある
    3. 3.信頼できるパートナーを見つける
    4. 4.組織としての体制を整える
  5. 結論:「うちは大丈夫」が一番危ない。
    1. コナン先生のWebトラブル何でも相談窓口

はじめに:あなたのサイトは大丈夫?

会社の「顔」であり、24時間働く営業マンでもあるWebサイト。今この瞬間も、何事もなく動いているように見えるかもしれません。しかし、その「いつも通り」という安心感が、実は最も危険な落とし穴なのです。

水面下では、更新されないシステムが静かに古びていき、少しずつサイトの表示が重くなっているかもしれません。管理体制が名ばかりのものになり、セキュリティの穴が見過ごされている可能性もあります。

これらの問題は、普段は姿を見せない「サイレントキラー」。ある日突然、牙をむき、あなたのビジネスを根底から揺るがす大トラブルとなって現れるのです。

この記事では、多くのWeb担当者が頭を抱えてきた「よくあるトラブル」を、コナン先生が専門家の視点からランキング形式でご紹介します。

単なるトラブル事例の紹介ではありません。なぜそれが起こるのか、そしてどうすれば防げるのか、具体的な対策までを分かりやすく解説していきます。

この記事を読み終える頃には、受動的なトラブル対応から一歩進んで、未来のリスクを先読みし、能動的にサイトを守るための知識が身についているはずです。

トラブルはどこから?4つの発生源

Webサイトのトラブルと一言で言っても、その原因は様々です。やみくもに対策するのではなく、まずは敵の正体を知ることが大切。

ここでは、無数にあるトラブルを4つの発生源に分類して見ていきましょう。自社のサイトがどの領域に弱点を抱えているか、チェックしながら読み進めてみてください。

  • 外部からの脅威
    悪意を持った第三者による、最も分かりやすく破壊的な攻撃です。ウイルス感染、不正アクセスによる情報漏洩、大量のデータを送りつけてサーバーをダウンさせるDDoS攻撃などがこれにあたります。攻撃の手口は日々進化しており、常に最新の防御策が求められます。
  • 内部の技術的負債
    サイトを作ったり、運営したりする中で、知らず知らずのうちに溜まっていく技術的な「借金」です。サイト表示の遅れ、古くなったシステムやプラグインの放置などがこれに当たります。すぐには問題にならなくても、時間と共にサイトの安定性や安全性を蝕み、ある日突然、大規模な障害を引き起こす根本原因となります。
  • 運営体制の脆弱性
    技術的な問題ではなく、サイトを管理する「人」や「ルール」に起因するリスクです。担当者の知識不足、急な退職による引き継ぎミス、コンテンツが全く更新されない、バックアップを取っていない、といった問題が含まれます。この弱点は、他のリスクを何倍にも増幅させる火種になりがちです。
  • ビジネス関係のリスク
    サイト制作会社やサーバー会社といった、外部パートナーとの関係から生まれるトラブルです。契約内容が曖昧でサイトの所有権が誰にあるか分からなくなったり、いざという時にサポートが受けられなかったり、パートナー企業が倒産してしまったり…といったケースが考えられます。

これら4つの領域は、それぞれが独立しているわけではありません。むしろ、ドミノ倒しのように連鎖します。

例えば、「運営体制の脆弱性」(担当者のスキル不足)が「内部の技術的負債」(システムのアップデート放置)を生み、その結果できたセキュリティの穴を「外部からの脅威」(サイバー攻撃)に狙われる。

そして、いざ制作会社に助けを求めようにも、「ビジネス関係のリスク」(保守契約を結んでいない)のせいで何もできない…という最悪のシナリオは、決して他人事ではないのです。

Webサイト運営トラブルTOP10

さて、いよいよ本題です。ここでは、Webサイト運営者が直面する可能性の高いトラブルをランキング形式でご紹介します。

このランキングは、単に「発生頻度」や「被害の大きさ」だけで決めているわけではありません。「発生頻度(遭遇しやすさ)」×「ビジネスへの影響度(被害の深刻さ)」という2つの軸を掛け合わせた「総合的なリスクの大きさ」を基準にしています。

さらに、「対策は基本的なのに、つい見過ごされがち」という専門家ならではの視点も加えています。

つまり、基本的な対策を怠ることで簡単に発生し、かつ深刻な事態を招きかねないトラブルほど、上位にランクインしています。

表1: Webサイト運営トラブルTOP10:リスクと影響の早見表

順位トラブル内容主な原因領域ビジネスへの影響度
10位SSL証明書の失効運営体制の脆弱性
9位お問い合わせフォームの不具合内部の技術的負債
8位制作・管理会社との契約問題ビジネス関係のリスク
7位WordPress特有の障害内部の技術的負債
6位検索順位(SEO)の急落内部の技術的負債
5位Webサイトの表示速度低下内部の技術的負債
4位サーバーダウン外部からの脅威 / 内部の技術的負債甚大
3位ランサムウェア・マルウェア感染外部からの脅威甚大
2位不正アクセスと情報漏洩外部からの脅威甚大
1位Webサイトの改ざん外部からの脅威 / 運営体制の脆弱性甚大

10位:SSL証明書の失効 – ある日突然、あなたのサイトが「危険」だと警告されたら?

どんなトラブル?

サイトの安全性を証明する「SSL/TLS証明書」の有効期限が切れてしまい、訪問者のブラウザに「この接続ではプライバシーが保護されません」といった警告が表示される問題です。

サイトにアクセスできなくなり、ビジネスチャンスを逃すだけでなく、会社の信頼も失いかねない、うっかりミスでは済まされないトラブルです。

なぜ起こるの?

原因のほとんどは、単純な「更新忘れ」です。担当者が忙しくて忘れていた、カレンダーに登録し忘れていた、担当者が辞める時に引き継ぎが漏れていた、といったヒューマンエラーが後を絶ちません。

最近は自動更新サービスも増えましたが(エックスサーバーなど主要なレンタルサーバーは自動更新)、設定ミスやクレジットカード情報の期限切れで、自動更新が失敗するケースもあります。

ビジネスへの影響は?

  • 信頼の失墜
    訪問者は警告画面を見て「なんだか危ないサイトだ」と感じ、すぐにページを閉じてしまいます。ブランドイメージは大きく傷つきます。
  • 機会損失
    ネットショップなら商品は売れず、企業サイトなら問い合わせも来ません。サイトが存在しないのと同じ状態になってしまいます。
  • SEO評価の低下
    Googleはサイトの安全性を重視しており、この状態が続くと検索順位が下がる可能性があります。

どうすれば防げる?

根本的な原因は、更新作業を個人のタスク管理に頼っている点にあります。まずは、サーバー会社が提供する自動更新機能をフル活用しましょう。自動更新が失敗した際に届くメールのチェック漏れに注意しましょう。

手動で更新する場合も、個人のカレンダーではなく、チームで共有するカレンダーに有効期限の60日前、30日前と複数回リマインダーを設定したり、主担当と副担当の2名体制にしたりするなど、属人化を防ぐ仕組み作りが重要です。

9位:お問い合わせフォームの不具合 – 見えないところで機会損失がダダ漏れに

どんなトラブル?

Webサイトのゴールである「お問い合わせフォーム」。見た目は問題なく動いているのに、実は送信された内容がどこにも届いていない…という恐ろしいトラブルです。

最悪なのは、運営者がその事実に長期間気づけない可能性があることです。

なぜ起こるの?

原因は様々ですが、レンタルサーバーのセキュリティ強化、Gmailのセキュリティ強化、迷惑メールフィルタの誤判定などでフォームからのメールが「迷惑メール扱い」されてしまい届かないことがよくあります。

WordPressサイトでは、フォーム用プラグイン(Contact Form 7など)の設定ミス、プラグインの更新失敗、他のプラグインとの相性問題などで、プログラムが動かなくなるケースもよくあります。

サーバーのキャッシュ機能(一度読み込んだ情報を記憶して表示を速くする機能)が邪魔をして、フォームの送信処理がうまくいかないことも。

ビジネスへの影響は?

  • 静かな機会損失
    ユーザーは「送信完了」と表示されれば、無事に送れたと思います。運営者は問い合わせが来ないのを「需要がないからかな」と勘違い。その裏で、数ヶ月、場合によっては1年以上も、貴重な見込み客からの連絡をすべて取りこぼしていた…という悲劇も実際に起きています。
  • 信用の失墜
    問い合わせに返信がない会社だと思われれば、「顧客を無視する企業」というレッテルを貼られかねません。SNSで悪評が広まるリスクもあります。

どうすれば防げる?

「フォームは一度作れば終わり」という考えを捨てることが第一歩です。

月に一度程度は、会社のメールやgmailでパソコンやスマホから実際にテスト送信を行い、ちゃんとメールが届くか、自動返信メールがユーザーに送られるかを確認する作業を、業務のルーティンに組み込みましょう。

プラグインの相性が疑われる場合は、一つずつ停止して原因を特定する地道な作業が必要です。キャッシュ機能を使っているなら、お問い合わせページをキャッシュの対象から外す設定も有効です。

8位:制作・管理会社との契約問題 – そのWebサイト、本当にあなたのものですか?

どんなトラブル?

Webサイトの制作や管理を外部に委託した際に、契約内容が曖昧だったために起こるトラブルです。

費用や著作権、サーバーやドメインの管理権限などを巡る問題で、サイト運営の根幹を揺るがす大問題に発展することもあります。

なぜ起こるの?

トラブルの多くは、きちんとした契約書を交わさずに、口約束やメールのやり取りだけで話を進めてしまった場合に起こります。

「初期費用0円」といった甘い言葉に乗り、実は高額な月額費用と解約できない長期リース契約だった、というケースも少なくありません。

特に危険なのが、制作会社がサーバーやドメインのID・パスワードを自社で管理し、依頼主に教えてくれないまま、倒産したり連絡が取れなくなったりするケース。こうなると、自社のサイトなのに一切手出しができなくなってしまいます。

ビジネスへの影響は?

  • サイトのコントロールを失う
    ちょっとした修正やサーバーの引っ越し、業者変更もできなくなる「デジタル人質」状態に。事業の戦略変更にサイトがついていけず、大きな足かせになります。
  • 予期せぬ高額請求
    契約書にない作業の「追加費用」や、解約時の法外な「違約金」を請求されるリスクがあります。
  • 事業継続の危機
    最悪の場合、制作会社が倒産し、サーバーが解約され、サイトのデータがすべて消えてしまう可能性も。これは、会社のデジタル資産が完全に失われることを意味します。

どうすれば防げる?

最大の原因は、発注者側のIT知識不足と契約内容の確認不足です。契約前には必ず書面で契約書を交わし、以下の点が明確になっているか、自分の目で確認しましょう。

  • 所有権
    サイトを構成する全データ(プログラム、デザインデータ、画像など)の所有権が自社にあること。
  • 管理権限
    サーバーとドメインの契約名義は必ず自社名義にし、すべてのIDとパスワードが自社に引き渡されること。
  • 費用と作業範囲
    月々の保守費用でどこまで対応してくれるのか、範囲外の作業はいくらかかるのかを明確にすること。

7位:WordPress特有の障害 – 便利なはずが突然「真っ白」に…

どんなトラブル?

世界中の多くのサイトで使われているWordPress。その魅力は豊富な「プラグイン」で手軽に機能を追加できる点ですが、それがトラブルの元凶にもなります。

プラグインやテーマを更新した途端、画面が真っ白になったり、デザインが崩れたり、特定の機能が動かなくなったりする障害が頻繁に起こります。

なぜ起こるの?

原因の多くは「競合」です。例えば、2つのプラグインが同じプログラムを別々の方法で使おうとしてケンカしてしまったり、テーマのデザインとプラグインのデザインがぶつかって表示が崩れたりします。

また、WordPress本体、テーマ、プラグイン、そしてサーバーのPHP(プログラム言語)のバージョンには相性があり、どれか一つを更新したことで全体のバランスが崩れ、エラーが発生するケースも非常に多いです。

ビジネスへの影響は?

  • サイトの機能停止
    ECサイトのカート機能が動かなくなるなど、直接的な売上減につながります。
  • 高い復旧コスト
    「画面が真っ白」の状態から原因を見つけるには専門知識が必要です。結局、外部の専門家に依頼することになり、余計な時間と費用がかかってしまいます。
  • セキュリティリスクの増大
    トラブルが怖くて更新をサボっていると、システムの弱点が放置され、ハッキングなどの格好の的になってしまいます。

どうすれば防げる?

鉄則(理想)は「本番環境でいきなり変更しない」こと。本番サイトのコピーである「テスト環境(ステージング環境)」を用意しましょう。

アップデートや新しいプラグインの導入は、まずそこで試して問題がないことを確認してから、本番サイトに適用する。この手順を徹底することでトラブルを未然に防げます。

また、作業前には必ずサイト全体のバックアップを取ること、そして不要なプラグインはこまめに削除して、導入する数を最小限に抑えることもリスクを減らすポイントです。

6位:検索順位(SEO)の急落 – 昨日まで1位だったのに…Googleからサイトが消える恐怖

どんなトラブル?

これまでGoogle検索で上位に表示されていたキーワードの順位が、ある日突然、圏外へ。

検索エンジンからのアクセスが激減し、サイトの集客力がゼロに近くなる、ビジネスにとって致命的な現象です。

なぜ起こるの?

原因は一つではありません。

  • Googleのアップデート
    Googleは年に数回、検索順位のルールを大きく変更します。これにより、これまで評価されていたサイトの順位が下がることがあります。
  • サイトリニューアルの失敗
    サイトのデザインを変えた際に、URLの変更に伴う適切な設定(301リダイレクト)を忘れたり、重要なページを消してしまったりすると、今までの評価がリセットされてしまいます。
  • 技術的な問題
    サイトの表示速度が遅い、スマホで見づらい、SSL証明書が切れている、といった問題はGoogleからの評価を下げる直接的な原因になります。
  • ペナルティ
    Googleのルールに違反する行為(悪質なリンクを買うなど)が見つかると、ペナルティとして順位を大幅に下げられることがあります。

ビジネスへの影響は?

  • 集客力の壊滅
    多くの企業にとって、検索エンジンからのアクセスは最も重要な集客源です。これを失うことは、売上に直結する問い合わせや見込み客を失うことを意味します。
  • ブランド認知度の低下
    検索結果に表示されなくなることで、潜在的なお客様があなたの会社やサービスを知る機会そのものが失われてしまいます。

どうすれば防げる?

SEOを一度きりの対策と考えず、継続的にサイトの状態をチェックし、改善し続ける体制が不可欠です。まずは無料ツールの「Google Search Console」を導入し、ペナルティの有無や技術的な問題を常に監視しましょう。

そして、表示速度やスマホ対応といった「ユーザーにとっての使いやすさ」を地道に改善し続けること。これが、Googleの気まぐれなアップデートにも揺るがない、強いサイトを作るための王道です。

5位:Webサイトの表示速度低下 – 3秒が命取り!売上を静かに溶かす「重い」サイト

どんなトラブル?

ページの読み込みが遅いことで、訪問者がイライラして見る前に帰ってしまう問題です。

サイト開設当初は速くても、コンテンツや機能を追加していくうちに、じわじわと進行するため気づきにくいのが特徴。静かにコンバージョン率とSEO評価を蝕んでいきます。

なぜ起こるの?

主な原因はサイトの「肥大化」。具体的には、ファイルサイズの大きな画像や動画がそのまま使われている、たくさんのプラグインや外部のスクリプトを読み込んでいる、サーバーの性能がアクセス数に追いついていない、といった要因が積み重なって起こります。

ビジネスへの影響は?

  • 訪問者の即離脱
    ユーザーは待ってくれません。Googleの調査では、ページの読み込み時間が1秒から3秒に悪化するだけで、訪問者の32%がページを見る前に帰ってしまう(直帰率が増加する)と報告されています。
  • 売上の直接的な低下
    特にECサイトでは影響が顕著です。ページの表示が1秒遅れるだけで、コンバージョン率が数パーセントも低下するというデータもあり、サイトの規模によっては年間数千万円以上の機会損失につながることも。
  • SEO評価の悪化
    Googleはサイトの表示速度を検索順位の重要な評価基準の一つとしています。遅いサイトは、検索結果で不利な扱いを受ける可能性が高まります。

どうすれば防げる?

まずは現状把握から。Googleの無料ツール「PageSpeed Insights」を使って、定期的にサイトの速度を計測し、どこに問題があるのかを客観的に知る習慣をつけましょう。

具体的な改善策としては、「画像のファイルサイズを圧縮する」「ブラウザキャッシュを活用する」「サーバーのプランを見直す」「サーバーを変更する」などが挙げられます。日々の小さな改善の積み重ねが、大きな差を生みます。

4位:サーバーダウン – サイトが消えた!?ビジネスが完全にストップする悪夢

どんなトラブル?

Webサイトが置かれているサーバーが停止し、サイトへのアクセスが一切できなくなる状態です。

サイトが見えなくなるだけでなく、メールの送受信や関連システムも止まってしまい、ビジネス活動そのものが麻痺する、極めて深刻なトラブルです。

なぜ起こるの?

原因は多岐にわたります。

  • アクセス集中
    テレビやSNSで話題になり、想定をはるかに超えるアクセスが殺到してサーバーがパンクする。
  • ハードウェアの故障
    サーバー本体の部品が壊れる。
  • ソフトウェアの不具合
    OSやプログラムのバグ、設定ミスでシステムが停止する。
  • サイバー攻撃
    大量のデータを送りつけられ、サーバーを強制的にダウンさせられる(DDoS攻撃)。
  • 自然災害・事故
    地震や火災、停電などでデータセンターが被害を受ける。

ビジネスへの影響は?

  • 売上機会の完全喪失
    ECサイトや予約サイトの場合、ダウンしている間の売上はゼロ。復旧が長引けば損失は計り知れません。
  • 業務の麻痺
    サイトが社内システムと連携している場合、全社的な業務停止につながる可能性もあります。
  • 信用の失墜
    「いざという時に使えないサイト」という印象は、顧客の信頼を大きく損ないます。一度離れた顧客を取り戻すのは非常に困難です。

どうすれば防げる?

対策は「予防」と「対応」の両面から考える必要があります。

  • 予防策
    中小企業の場合は、エックスサーバーやmixhostなど、アクセス集中に強かったり、稼働率が高い(99.99%以上など)ことをウリにしているレンタルサーバーを利用することが重要です。
    大手企業の場合は、アクセスを複数のサーバーに分散させる「ロードバランサー」の導入や、アクセス量に応じて自動でサーバー能力を調整するクラウドの機能活用が有効です。また、サーバーの状態を24時間監視するツールの導入も必須です。
  • 対応策
    最も重要なのは、定期的なバックアップです。しかし、ただデータを保存するだけでは不十分。「そのバックアップデータを使って、実際にサイトを元に戻せるか」を確認する復旧訓練を定期的に行うことこそが、本当の備えと言えます。

3位:ランサムウェア・マルウェア感染 – あなたの会社のデータが人質に…

どんなトラブル?

悪意のあるソフトウェア「ランサムウェア」に感染し、サーバーや社内PCのデータがすべて暗号化されて使えなくなり、元に戻すことと引き換えに高額な身代金を要求されるサイバー攻撃です。

また、自社サイトがウイルスをばらまく「踏み台」にされ、訪問者を危険に晒す加害者になってしまうケースもあります。

なぜ起こるの?

最も多い感染ルートは、OSやCMS、プラグインなどのセキュリティ上の弱点(脆弱性)を突かれるケースです。

また、従業員が偽装メールの添付ファイルを開いてしまったり、不正なリンクをクリックしてしまったりすることで、社内ネットワークへの侵入を許すことも少なくありません。

簡単なパスワードを使っている、パスワードを使い回している、といった基本的な管理の甘さが原因で管理者アカウントが乗っ取られることもあります。

ビジネスへの影響は?

  • 事業の完全停止
    顧客データから会計データまで、事業に必要なあらゆるデータが使えなくなり、業務が完全にストップします。
  • 甚大な金銭的被害
    身代金を支払ってもデータが戻る保証は一切ありません。むしろ、専門業者に支払う復旧費用や、事業が止まっている間の損失の方がはるかに大きくなることがほとんどです。
  • 二次被害の加害者になる
    自社サイトがウイルス配布元になれば、お客様や取引先を危険に晒すことになります。会社の信用は失墜し、損害賠償を請求される可能性もあります。

どうすれば防げる?

根本原因は、基本的なセキュリティ対策の怠慢と、従業員のセキュリティ意識の低さにあります。対策は多層的に行う必要があります。

  • 技術的対策
    OSやCMS、プラグインのセキュリティアップデートは、公開されたら即座に適用する。これが最も重要です。パスワードは長く複雑なものにし、可能なら多要素認証(MFA)を導入しましょう。
  • バックアップ戦略
    定期的なバックアップは最後の砦です。ただし、常にネットワークに繋がったバックアップは、本体もろとも暗号化される危険があります。重要なデータは、ネットワークから切り離した場所(オフラインバックアップ)にも保管することが不可欠です。
  • 人的対策
    従業員に対し、不審なメールは開かない、安易にパスワードを教えないといった基本的なセキュリティ教育を定期的に実施することが求められます。

2位:不正アクセスと情報漏洩 – お客様の情報を漏洩…会社の信頼が崩れ去る瞬間

どんなトラブル?

攻撃者がサイトの弱点を突いてサーバーに侵入し、保管されているお客様の個人情報(氏名、住所、カード情報など)や、企業の機密情報を盗み出す行為です。

企業が被る損害の中で、最も深刻なものの一つと言えるでしょう。

なぜ起こるの?

Webサイトの入力フォームなどから不正な命令を送り込み、データベースを操る「SQLインジェクション」といった攻撃が代表的です。これらは、サイト制作時のセキュリティ配慮が足りない(脆弱性がある)場合に狙われます。

また、盗まれた管理者IDとパスワードが使われたり、退職した従業員のアカウントが放置されていたりといった、アクセス管理の甘さが原因となるケースも少なくありません。

ビジネスへの影響は?

  • 信用の完全失墜
    情報漏洩事件は、企業のずさんな管理体制を社会に晒すことになり、顧客や取引先からの信頼を根底から破壊します。
  • 法的責任と巨額の損害賠償
    個人情報保護法により、情報漏洩が起きた場合は国への報告と本人への通知が義務付けられています。これを怠れば罰則の対象に。さらに、被害者から集団訴訟を起こされ、巨額の損害賠償を命じられるリスクもあります。
  • 事業への致命的打撃
    原因調査、システム復旧、顧客対応、再発防止策の策定…インシデント対応に追われ、本来の事業活動が長期間ストップし、企業の体力を著しく奪います。

どうすれば防げる?

専門的な知識と継続的な投資が不可欠です。

  • WAF (Web Application Firewall) の導入
    SQLインジェクションのような、Webサイトを直接狙う攻撃を防ぐための壁(ファイアウォール)です。情報漏洩対策の基本中の基本と言えます。サーバーパネルなどから設定しましょう。
  • 定期的なサイトの健康診断
    専門家によるサイトの健康診断や、WordPressサイトの場合はAll In One WP Security & Firewallなどのセキュリティ対策プラグインによるセキュリティ対策の強化や診断が重要です。
  • アクセス権限の最小化
    従業員に与える権限は、業務に必要な最低限に絞る「最小権限の原則」を徹底しましょう。万が一アカウントが乗っ取られても、被害を最小限に食い止められます。

1位:Webサイトの改ざん – 会社の顔が、ある日突然めちゃくちゃに…

どんなトラブル?

Webサイトの内容が、攻撃者によって勝手に書き換えられてしまうトラブルです。

不適切な画像が表示されたり、政治的なメッセージが書き込まれたり、訪問者を詐欺サイトやウイルス配布サイトへ強制的に飛ばしたりと、手口は様々です。

なぜ起こるの?

最も多い原因は、WordPressなどのCMS本体やプラグインの弱点(脆弱性)を突かれることです。修正プログラムが公開されているのに、それを適用せず放置しているサイトが格好の標的になります。

また、管理者のアカウント名が「admin」のままだったり、パスワードが「123456」のように簡単だったり短いものだったり、他のサービスと同じものを使い回していたりして、簡単にログインされてしまうケースも後を絶ちません。

ビジネスへの影響は?

  • ブランドイメージの著しい毀損
    会社の公式サイトが改ざんされているという事実は、セキュリティ管理が甘い会社だと公言しているようなものです。顧客や取引先からの信頼は地に落ちます。
  • 訪問者を危険に晒す加害者に
    改ざんされたサイトは、訪問者を詐欺サイトに誘導したり、ウイルスに感染させたりする「罠」と化します。自社のお客様に直接的な被害を与えてしまい、法的・道義的な責任を問われることになります。
  • SEO評価の暴落
    サイトがスパムの温床とみなされ、Googleから重いペナルティを受け、検索結果から完全に消されてしまう可能性もあります。

なぜ「改ざん」が1位なのか?

情報漏洩やランサムウェアに比べ、直接的な金銭被害は小さいかもしれません。しかし、このトラブルを1位としたのには明確な理由があります。

それは、攻撃のハードルが非常に低く、最も頻繁に発生するにもかかわらず、その対策は「アップデートを怠らない」「簡単なパスワードを使わない」といった、あまりにも基本的なことだからです。

この「基本的な対策を怠る」という運営体制の甘さが、最もありふれた脅威を招き入れているという構図こそが、この問題をWebサイト運営における最大のリスクたらしめているのです。

対策は、セキュリティの基本に立ち返ること。これに尽きます。

今日から始める、守りのWebサイト運営

ここまで、様々なトラブルを見てきました。その多くは、「問題が起きてから対処する」という後手後手の対応によって被害が拡大します。

本当に安定したサイト運営を目指すなら、トラブルが起きるのを待つのではなく、起きないように先手を打つ「守りの戦略」が不可欠です。

1.定期的な「サイト健康診断」を習慣にしよう

人間と同じで、Webサイトも定期的なチェックで問題を早期発見することが大切です。これを毎月、あるいは四半期ごとの定例業務として習慣化しましょう。

  • 脆弱性チェック
    使っているCMSやプラグインに新しい弱点が見つかっていないか定期的に情報をチェックしたり、セキュリティが弱くなっていないか定期的にチェックする。
  • パフォーマンス測定
    「PageSpeed Insights」などのツールで表示速度を測り、だんだん遅くなっていないかを確認する。
  • エラーログの監視
    サーバーに残されたエラーの記録をチェックし、何かの不具合の予兆がないかを確認する。

2.バックアップは、復旧できて初めて意味がある

「バックアップは取っています」と多くの担当者は言います。しかし、本当に重要なのは、そのバックアップを使って、実際にサイトを元の状態に戻せるか、です。

  • 復旧マニュアルを作る
    「誰が、いつ、どのデータを使って、どういう手順で」復旧するのかを具体的に書いたマニュアルを用意しましょう。
  • 復旧訓練を行う
    マニュアルが本当に使えるかを確認するため、年に1〜2回は、テスト環境で実際に復旧作業をやってみることが大切です。いざという時のための、最高の防災訓練になります。

3.信頼できるパートナーを見つける

サイトの制作や保守を外部に任せるなら、パートナー選びが運命を分けます。価格の安さだけで選ばず、長期的な視点で信頼できる相手を見極めましょう。

  • 選ぶ時のチェックポイント
    実績や技術力はもちろん、「契約内容が分かりやすいか」「サーバーやドメインの所有権をちゃんと自社にしてくれるか」といった点を重視しましょう。
  • 良い関係を築く
    業者を単なる下請けではなく、ビジネスの成功を一緒に目指すパートナーとして捉え、日頃からコミュニケーションを取ることが、いざという時のスムーズな連携につながります。

4.組織としての体制を整える

どんなに良いシステムも、使う人がしっかりしていなければ意味がありません。

  • 役割分担を明確に
    誰がアップデートの責任者で、誰がバックアップを確認するのか。担当者の役割と責任をはっきりさせましょう。
  • 引き継ぎ資料を整備する
    担当者が急に辞めても困らないように、サーバー情報や各種ID・パスワード、緊急連絡先などをまとめた資料を常に最新の状態にしておきましょう。業務の属人化は最大のリスクです。

結論:「うちは大丈夫」が一番危ない。

この記事では、Webサイト運営者が直面する深刻なトラブルTOP10を、その原因から対策まで詳しく解説してきました。

重要なのは、これらのトラブルがバラバラに存在するのではなく、複雑に絡み合っているという事実です。

運営体制の甘さがシステムの弱点を生み、そこを外部の攻撃者に狙われる。この負の連鎖は、多くのサイトで静かに進行しています。今、あなたのサイトに問題が見えなくても、その裏には専門家でなければ見抜けない根深い原因が潜んでいるかもしれません。

「問題が起きてから対処すればいい」という考えは、もはや通用しません。サイトが止まっている間の売上損失、失った信頼を取り戻すためのコスト、情報漏洩を起こしてしまった場合の法的責任。これらは、日々の適切な管理コストとは比べ物にならないほどの損害をもたらします。

あなたのWebサイトは、本当に健全だと言い切れますか?

「何も問題がないように見える」今こそ、専門家の目でサイトの健康状態を客観的に評価し、未来の脅威に先手を打つ、最高のタイミングなのです。

コナン先生のWebトラブル何でも相談窓口

Webサイトのトラブルは、ビジネスの機会損失や信用の失墜に直結する深刻な問題です。

「サイトが表示されない」「表示が崩れる」「ハッキングされたかもしれない」といった緊急事態から、「サイトの成果が出ない」といった慢性的な悩みまで、コナン先生が専門家として解決をサポートします。

Webサイトに関するあらゆる「困った」に対応します。小さな不安が大きな問題になる前に、ぜひ一度ご相談ください。

コナン先生のWebトラブル何でも相談窓口