「LP1本作るのに3週間かかりました」「ホームページを作るのに1ヶ月かかりました」「この学習スピードはやはり遅過ぎでしょうか」
こういう投稿をよく見ます。
作っているときは集中しているから気にならない。でもふと手を止めて、周りを見ると、同じ時期に学び始めた人がもう次の課題に進んでいる。自分だけ取り残されている気がする。
私って、遅いんだろうか?不器用なんだろうか?こだわり過ぎているんだろうか?
その感覚は、ほぼ全員が通る場所です。
遅さの正体は「迷い」
遅さの正体を整理します。
作業が遅い人を観察していると、手の速さが原因であることは、実はほとんどありません。
遅さの本当の原因は「迷い」です。
- この色でいいのか、迷う
- この配置でいいのか、迷う
- このコピーでいいのか、迷う
- この書き方で合っているのか、迷う
- 次に何をすればいいのか、迷う
手を動かしている時間よりも、手が止まっている時間の方が長い。でも、本人は「手が遅い」と思っている。
手が遅いのではなく、判断が多すぎるんです。判断に時間をかけ過ぎているんです。
迷いを減らす方法は、4つあります
1. 先に構成をきちんと決める
作りながら考えると、選択肢が無限に出てきます。レイアウト、文言、写真の位置——全部を同時に考えながら手を動かすのは、プロでもしんどい。プロはやりません。
先に紙1枚でいいから構成を決める。何をどの順番で見せるか。どこに何が入るか。スマホの画面でどう並ぶか。これだけ決めてから作り始めると、手が止まる回数が劇的に減ります。
2. 先にデザインの方針をきちんと決める
デザインの方向性——テイストやトーン、色、フォント、余白——を作りながら選ぶと、そのたびに「これでいいか」で手が止まります。構成が決まっていても、見た目でまた迷う。見た目で迷う時間が、一番長いかもしれません。
先に、参考にするサイトを決める。使う色のカラーパレットを決める。これだけで、見た目の迷いの多くは消えます。センスの話ではなく、先に決めておく話です。デザインのセンスがなくても作れる理由も、同じ考え方です。
クライアントワーク(案件)では、デザインのやり直しで出戻りが多くなります。方向性はできるだけ早く、できるだけ詳しく、クライアントと合意しておくと進めやすくなります。
3. 素材を先に揃える
写真がない。文章がない。ロゴがない。作っている途中で「あ、これが要る」と気づいて、そのたびに手が止まる。
素材を先に揃えてから作り始めると、流れが切れません。
クライアントワーク(案件)の場合は、素材が揃う前に作り始めることが多いですが、この場合も、仮の素材を揃えてから作ると進めやすくなります。
4. 型を持つ
ゼロから毎回考える、ゼロから毎回作るのが一番遅い。ヘッダーはこう、メインビジュアルはこう、セクションの区切りはこう。自分なりの型ができてくると、迷いの回数が減ります。
型を持つことを「個性がなくなる」と思う方がいますが、逆です。型があるから、個性を出すべき場所に集中できる。
テンプレートとして何パターンか持っておくと、効率的に作れるようになります。
プロの作業時間は、想像より長い
私は制作歴30年ですが、1ページのランディングページを作るのに、構成だけで数日かかることもあります。コンセプトから考えたり、キャッチコピーを生み出したり、しっかりコピーライティングを行うからです。デザインを制作して、WordPressに反映させて、スマホファーストの最適化などを行うと、全部で1〜2週間はかかります。
AIを使うようになって、デザインやコーディングの時間は大幅に縮まりました。でも構成を考える時間はそれほど変わりません。AIも活用しながら進めますが「誰に何を言うかを決める」「伝わる文章を書く」などの工程は、AI任せではなく、きちんと行わないと、お問い合わせやお申し込みと言った成果に結びつかないからです。
サイバーエージェントでの1年目
2つの会社でWebプロデューサーやWebデザイナーとして活躍したあと、サイバーエージェント(日本一の広告代理店)に転職したとき、それまでの自信は完全に折れました。
クライアントとの打ち合わせで、話している内容が全然分からない。振られてもうまく答えられない。意見も言えない。何度も悔し涙を流しました。
はじめの頃は、広告用語もマーケティング用語も分からなかったから、大手企業のサイトに関わった経験もなかったので、ブランディングの考え方も、広報担当者の立場も分かっていなかったからです。
1年目は、自分が納得のいくような成果を出せませんでした。
でも、先輩のやり方を教えてもらったり、先輩の過去の仕事や今の仕事を見ながらノウハウを覚えていきました。毎日学びがあって、つらかったけど楽しかった。1年経ったころ、ようやく一人前に仕事ができるようになったと感じました。
長くやっている人間でも、環境が変わったり、やり方が変わったりすれば、上手にできるようになるまで時間がかかる。
「遅い」は、向いていないということではありません。まだ慣れていないだけです。
最初から速い人の危うさ
最初から仕事が速い人、作業が速い人は、実は危ないことがあります。
速いということは、迷わず作っているということです。迷わないのは、選択肢をあまり持っていない場合もあります。本当にこれでいいのか?と考える力が足りない場合もあります。「どっちが最適か?」「これでいいのか?」と立ち止まれる人の方が、実は考えが深い場合が多い。
雑に速く作ったものと、丁寧にゆっくり作ったもの。どちらが見た人に届くか。見た人の心を動かすか。
遅さは、丁寧さの裏返しであることも多いです。
AIで速くなる工程と、速くしてはいけない工程
AIを使うと、デザイン制作やコーディングの速度は劇的に上がります。1日かかっていた作業が1時間、3時間かかっていた作業が30分で終わることもある。
でも、AIで速くしてはいけない工程があります。
「誰に、何を、どう伝えるか」を考える工程です。
ここをAIに任せると、誰にでも当てはまるけど、誰にも刺さらないホームページが出来上がってしまいます。
あなたの商売のことは、あなたが一番知っている。クライアントの事業のことはあなたがきちんとヒアリングする。そして、AIを活用しても良いが、自分の頭でしっかり考える。
逆に言えば、考えることに十分に時間をかけて、手を動かす部分はAIに任せる。これが今の時代の、賢い時間の使い方です。
速さは、後からついてきます
最後にもう一つだけ。
私のレッスンでは、速く作れること、完成までの速さを目標にしません。
実戦で必要なことを学ぶ。大事なことから順番に学ぶ。だから、速く身に付くことは事実ですが、これはスピードの話ではなく、不要なことは学ばない。1から順番に学ばない。ということの結果です。
速さは、正しい手順を繰り返した先に、勝手についてきます。
意識して速くしようとすると、大事な工程を飛ばすようになります。飛ばした工程のツケは、あとで必ず来ます。だから、急がなくていい。
今の作り方のどこで時間を失っているか。それが分かれば、やるべきことは自然に見えてきます。
「自分の目的に合う学び方が分からない」という方は、何から学べばいい?——目的別の学習ルートも参考にしてください。
作業が遅い、どうしても時間がかかってしまう、いろいろ迷ってしまう…と悩んでいるなら、体験レッスンで一度お話ししてみませんか?アドバイスできることがあると思います。
