他のサイトを参考にするのはどこまでOKか——「パクリ」と「参考」の境界線

「サイトAのヘッダー+サイトBのレイアウト+サイトCのフッター。これはパクリでしょうか?」

実際にネットに投稿されていた質問です。

この質問、答えるのが難しいんですよね。法律的にセーフかどうかと、倫理的にセーフかどうかが、ずれることがあるからです。

しかも最近は、AIが生成したデザインやコード、文章の権利がどうなるか、という問題まで加わっています。

曖昧なまま放置すると怖いことになる分野なので、今の時点で言えることを、正直に整理します。

目次

まず、法的にアウトになりやすいもの

はっきり線が引けるものから書きます。

丸ごとコピーは、ほぼ確実にアウトです。

対象丸ごとコピーは
写真・イラスト・画像アウト。著作権侵害
文章アウト。一文ずつ変えても「翻案」に該当する場合あり
ロゴアウト。商標権も絡む
コードの丸ごとコピーアウト。ただしライセンス次第(後述)

これらは「参考にしました」では済みません。見つかったときに、言い訳が効かない領域です。

特に写真と画像。Googleの画像検索で同じ画像を探すのは誰でもできます。ストックフォトの無断使用は、使用料の10倍以上の損害賠償を請求された事例もあります。

フリー素材でも、利用規約を読まずに使うと危険です。「商用利用OK」と書いてあっても、「加工禁止」「クレジット表記必須」「AI学習への利用禁止」など、条件がついていることがあります。

一般にセーフとされるもの

では、何なら参考にしていいのか。

レイアウトの型。 「ヘッダーがあって、メインビジュアルがあって、3カラムの特徴紹介があって、CTAがあって、フッター」——この構造自体は著作権の対象にはなりません。型には著作権がないからです。

配色の考え方。 「白をベースにして、アクセントカラーに青を使う」——色の組み合わせそのものは保護されません。ただし、特定のブランドの配色をそっくりそのまま使うと、別の問題が出てきます(後述)。

機能の発想。 「スクロールすると画像がふわっと出てくる」「ハンバーガーメニューを使う」——機能のアイデアは著作権で保護されません。同じ動きを、自分のコードで実装するのはセーフです。

グレーゾーンの判断軸

法律の話だけでは、最初の質問には答えられません。

「サイトAのヘッダー+サイトBのレイアウト+サイトCのフッター」——法律上はおそらくセーフです。レイアウトの型を組み合わせただけなら、著作権の問題にはなりにくい。

でも、それで本当にいいのか、という話は別にあります。

私が使っている判断軸を書きます。

「そのサイトの”らしさ”を奪っているか」

参考にしたサイトを見た人が、あなたのサイトを見て、「あ、あのサイトだ」と思うかどうか。

「あのサイトっぽい」と感じさせてしまうなら、それは参考の域を超えています。

色の組み合わせ、フォントの使い方、写真の配置、余白の取り方。一つひとつは普通でも、組み合わせ全体が特定のサイトの印象と重なったとき、それは”らしさ”を奪っていることになります。

法的にセーフでも、業界で「あそこのパクリだ」と言われたら、信用を失います。法律の問題ではなく、信頼の問題です。

具体的なチェック方法

参考にしたサイトと、自分のサイトを並べてみてください。

  • 色・フォント・レイアウトの3つが同時に似ていないか
  • 写真の配置や切り抜き方まで同じになっていないか
  • キャッチコピーの構文が同じになっていないか(「〇〇なら、△△。」という型ごと借りていないか)

1つ似ているだけなら参考。3つ揃ったら、限りなくパクリに近い。

私はクライアントの仕事をするとき、必ず競合サイトを調べます。でも、競合と同じにすることが目的ではなくて、競合と違うところを見つけることが目的です。

練習で模写するのは、良いことです

ここまで読んで、「参考にするのが怖くなった」と思った方。安心してください。

学習目的の模写は、まったく問題ありません。

プロのサイトをそっくりそのまま再現してみる。これは絵の世界でいう「模写」で、最も効果的な練習方法のひとつです。

ただし、条件が1つだけあります。公開しないこと。

ローカル環境で作って、自分の学習用にだけ使う。ポートフォリオに載せない。お客さんに納品しない。この線を守っていれば、好きなだけ模写してください。

公開・納品の段階で、参考元のサイトの”らしさ”が残っていないか。そこだけ確認すればいいんです。

素材の正しい入手先

写真やイラストを使うとき、入手先のルールを知っておくと安心です。

入手先注意点
有料ストックフォト(Shutterstock・Adobe Stock等)ライセンスを買えば使える。ただし用途制限を確認(印刷物NG、SNS広告NGなどがある)
無料素材サイト(Unsplash・Pixabay等)商用利用OKが多い。ただしサイトごとに規約が違う。必ず読む
自分で撮った写真最も安全。ただし人物が写っている場合は肖像権に注意
クライアントから受け取った素材使用許可の範囲を書面で確認。口頭だけだとトラブルになる
Google画像検索で見つけた画像使ってはいけません。著作権者の許可なく使うと違法

大事なのは、「使えるかどうか」ではなく「使える条件を確認したかどうか」です。

面倒に感じるかもしれませんが、これをやっているかどうかで、プロとアマチュアの差が出ます。素人っぽいサイトの直し方もあわせて読んでみてください。

AI生成物の権利——今の時点で言えること

AIが作った画像、文章、コードの著作権はどうなるのか。

率直に書くと、まだ結論が出ていません。

2024〜2025年時点で分かっていることだけ書きます。

AI生成画像: 人間が十分な創作的関与(プロンプトの工夫、加筆修正など)をしていれば著作権が認められる可能性がある。ただし、AIが自動的に出力しただけのものは、著作物として保護されない可能性が高い。国や裁判所によって判断が分かれている段階です。

AI生成コード: 一般的なコードパターンには著作権がそもそもないことが多い。ただし、学習元のコードがそのまま出てくるリスクはあります。オープンソースのライセンス違反にならないか、注意が必要です。

AI生成文章: 画像と同じ論点です。「AIに書かせただけ」なのか「人間が編集・加工した」のかで扱いが変わる可能性があります。

今の段階で守るべきこと

結論が出ていない以上、安全側に立っておくことをお勧めします。

  • AI生成物をそのまま使わず、必ず自分で手を加える
  • 生成された画像やコードが、既存の作品に酷似していないか確認する
  • クライアントに納品する場合は、AI生成物を含んでいることを伝える

法整備が追いつくまでは、「自分で説明できる状態」を作っておくことが最善です。

「指示通りに作ってください」と言われたとき

最後に、少し別の角度から。

私はこれまで多くの案件を手がけてきましたが、クライアントが「やりたいこと」を決めていて、指示書を渡されて、その通りに作るような案件もありました。

正直なところ、辛い仕事なんです。

「このサイトみたいに作ってください」と参考サイトを指定されて、そっくりに作ることを求められる。「これじゃうまくいかないだろうな」と思いながら作るのは、成果に責任を持つ人間としては苦しい。

そして実際、そういう案件は成果が出にくい。

参考にすること自体は悪くありません。でも、「なぜそのサイトがそうなっているか」を理解せずに形だけ真似ても、同じ結果にはならないんです。

あなたがこれからサイトを作るときも、受注するときも、この視点を持っておいてください。形を真似るのではなく、考え方を学ぶ。それが「参考」と「パクリ」の本当の境界線です。真似するサイトの選び方については真似するならどのサイトを選ぶかで詳しく書いています。

「自分の目的に合う学び方が分からない」という方は、何から学べばいい?——目的別の学習ルートも参考にしてください。

案件で判断に迷うことがあれば、スポットレッスンでご相談ください。著作権まわりは、一人で悩むより、経験のある人に確認した方が安全です。

まずは体験レッスンにご参加ください

ホームページを作れるようになりたい。でも、何から始めればいいか分からない。そんな、あなたのための教室です。

基礎からしっかり学んで、自分で作れるようになりたいですか?

AIを使って、上手に作れるようになりたいですか?

まずは、体験レッスンで「どうなりたいか」を聞かせてください。

画面の向こうの先生と、机でレッスンを受ける生徒

体験レッスンに申し込む

この記事を書いた人

コナン先生(小南邦雄)
コナン先生(小南邦雄)

Web制作歴・Web運用歴30年(1996年〜)
Webプロデューサー、Webディレクター、Webコンサルタント、Webマーケター、Webデザイナー、講師、AIディレクターなど、さまざまな立場でWeb制作・Web運用に携わる。

Webデザインコンテストでグランプリ受賞、大手企業・有名企業・地方自治体のサイトや広告制作多数、アフィリエイトサイトで1600万円以上の報酬獲得、120万円超のホームページプロデュースが予約2ヶ月待ち、ストアカでは115名を指導し平均評価4.98・ゴールドバッジ獲得などの実績あり。

自社サイト10サイト以上、クライアントサイトを含めると20サイト以上を運用中。

体験レッスン