「Webデザイナーの仕事はこれからAIに取って代わられてしまうのでしょうか」
この質問、投稿しているのは初心者だけではないんです。現役のWebデザイナー自身が聞いています。
もう一つ、よく見かけるのがこれです。
「生成AIで作ったWebサイトを、自分で細かいところを修正することはできますか?」
作った後に、必ずここへ来ます。
この2つの質問は、実は同じことを聞いています。AIが作ったものは、そのままでは使えない。でも、どこがどう使えないのかが分からない。
AIだけで「公開できるサイト」は作れます。「直せるサイト」は作れません。「成果が出るサイト」はもっと作れません。
「公開」「修正」「成果」——この3段階の違いが、習う意味の全部です。
「公開できる」と「使える」は違います
AIに「カフェのホームページを作って」と指示を出すと、見た目はそれなりのものが出てきます。カラーもレイアウトもきれい。テキストも入っている。スマホで見ても崩れていない。
公開しようと思えば、できます。
でも、公開した瞬間に「あれ」が始まるんです。
- この部分の文字サイズを変えたい → どこを触ればいいか分からない
- お問い合わせフォームの送信先を変えたい → 設定のどこにあるか分からない
- スマホで見たときだけボタンの位置がおかしい → 何が原因か特定できない
AIが作ったコードは、AIの判断で書かれています。なぜそう書いたかは、使った人には分かりません。分からないものは直せない。
これが「公開できる」と「直せる」の差です。
AIで作った人がぶつかる3つの壁
相談を受けていて、ほぼ全員がぶつかるのがこの3つです。
壁1:直せない
さっき書いた通りです。出てきたものを修正しようとすると、どこを変えればどこに影響するかが見えない。1箇所直したら別の場所が崩れた、ということが頻繁に起きます。
これを解決するには、HTMLとCSSの構造を最低限理解している必要があります。全部を暗記する必要はありません。「この部分がこう動いている」という仕組みが分かればいい。
壁2:意図とズレる
AIは「きれいなサイト」は作れます。でも、「このお客さんに、この順番で、この言葉で伝える」という設計はできません。
なぜか。AIには、あなたのお客さんが分からないからです。あなたの商売の強みが何で、競合と何が違って、初めて来た人が最初の3秒で何を見て判断するか。——これは、商売をしている本人しか知りません。
AIに「カフェのサイトを作って」と言えば、一般的なカフェのサイトが出てきます。「あなたのカフェのサイト」にはなりません。
壁3:公開と保守で詰まる
意外とここで止まる人が多いんです。
サーバーの契約、ドメインの設定、SSL証明書、ファイルのアップロード、WordPressとの接続。AIがコードを書いてくれても、それをインターネット上に載せる部分は、まだ別の知識が要ります。
そして公開した後の保守。プラグインの更新、セキュリティ対策、バックアップ。ここがゼロのまま公開すると、数ヶ月後に動かなくなったり、最悪の場合は乗っ取られたりします。
学ぶべきは「指示力・判断力・土台の理解」の3つ
「結局、全部勉強しないといけないのか」と思ったかもしれません。
全部じゃないんです。学ぶべきものは、3つに絞れます。
① 指示力
AIへの指示の出し方です。何を、どういう順番で、どこまで具体的に伝えるか。これが曖昧だと、AIが出してくるものも曖昧になります。
「いい感じにして」では、いい感じにはならない。「このセクションの見出しを18pxのゴシック体で、背景色は#f5f5f5に」と言えるかどうかです。
② 判断力
AIが出してきたものを見て、これで大丈夫か、何が足りないかを判断する力です。
デザインとしておかしくないか。スマホで見て操作しやすいか。検索エンジンに正しく認識される構造になっているか。出力を鵜呑みにしない目が要ります。
③ 土台の理解
HTMLとCSS、WordPressの基本的な仕組み。全部を書ける必要はありません。AIが書いたコードの意味が分かる程度でいい。
何が書いてあるか分かれば、どこを直せばいいかも分かります。これが「直せるサイト」を作る最低条件です。
成果のノウハウは、技術レッスンの中に入っています
ホームページは、作れただけでは意味がないんです。
見た目がきれいでも、問い合わせが来なければ商売には使えない。検索で出てこなければ、誰にも見つけてもらえない。
AIを使おうが手で書こうが同じです。作り方は手段の話であって、「何のために作るのか」「誰に見てもらうのか」を考える力は別に要ります。
私がレッスンで意識していることがあります。
一見、WordPressの使い方を学ぶだけに見える講座であっても、成果を出すための考え方を盛り込んで教えています。見出しの付け方を教えるとき、ただ「h2タグを使います」とは言わない。「このタグを使う理由は、検索エンジンがページの主題を判断する材料になるからです。だから見出しには、お客さんが検索する言葉を入れます」と説明します。
技術を教えるときに、必ず「なぜそうするのか」をセットで伝える。「なぜ」の答えは、全部成果につながっています。分けて教えていません。分ける必要がないので。
AIを「使う」ではなく「率いる」
私自身の今の制作スタイルの話です。
今は、AIをチームメンバーのように使って制作しています。リサーチを担当するAI、デザインを担当するAI、コードを書くAI、コピーを書くAI。それぞれに役割があって、私はディレクターとしてチーム全体を動かしている感覚です。
外注する必要がなくなりました。制作時間は以前の3分の1から4分の1になっています。
ただし、AIに丸投げしているわけではありません。指示を出し、出てきたものを判断し、方向を修正し、品質を確認する。ディレクターがいなければ、AIチームはバラバラなものを作り始めます。
AIチームの具体的な動かし方はAIチームのディレクターになるに譲ります。ここで伝えたいのはひとつ。AIの時代に求められるのは「自分で全部書く力」ではなく「AIを正しく動かし、判断する力」です。
なぜ、AI制作を教える教室が少ないのか
AIを使ったサイト制作を教えられる教室は、まだほとんどありません。理由は単純で、講師自身がAIで実制作していないからです。
教えるには、自分でやっている必要があります。AIの癖、うまくいかないパターン、指示の出し方のコツ。日々使い続けている人にしか分からない知見です。(この問題はAIを教える教室がないで詳しく取り上げています。)
私自身、Cursorというツールを使って制作しています。Cursorと聞くとエンジニア向けのツールだと思われがちですが、非エンジニアでも使えます。その始め方や考え方、AIの癖と上手な付き合い方を教えると、生徒さんも自分で使えるようになっていきます。(AIツールの具体的な話は、Cursor・Claudeでホームページは作れるかで詳しく書いています。)
今から始めれば、ベテランに追いつける
Web制作の技術は、ここ数年で落ち着いてきています。新しく学ぶことが減ったんです。その一方で、AIという新しい道具が出てきた。
今から始める人は、AIをフル活用することで、5年10年やってきたWebデザイナーよりも進んだ状態になれる可能性があります。これは30年この業界を見てきた私の、率直な見方です。(この時期の話も、ホームページはオワコンなのかで詳しく書いています。)
逆に言えば、AIを使わずに従来のやり方だけで戦うのは、これからどんどん難しくなっていく。学ぶなら、AI込みで学んだ方がいい。
それでも基礎からやりたい人へ
ここまで読んで、「やっぱりまず基礎を固めたい」と思った方もいると思います。
それも正しい判断です。
HTMLとCSSの仕組みを理解してからAIを使う方が、判断力が安定します。AIが出してきたものを「これは合っている、ここは違う」と言える根拠が、基礎の理解から来るので。
その場合は、クラシックコースから始めてください。「WordPressで簡単なホームページを作成できるようになる講座(全16回・4ヶ月)」か、「WordPressで自由にホームページを作成できるようになる講座(全24回・6ヶ月)」が該当します。
AI制作から入りたい方は、ジャンプアップコースです。「AI+WordPress/Astroでホームページを作成できるようになる講座(全16回・4ヶ月)」があります。
どちらを選ぶかは、目的で決まります。どちらが正しいかではなく、あなたが何を作りたいか。
「自分の目的に合う学び方が分からない」という方は、何から学べばいい?——目的別の学習ルートも参考にしてください。
AIでどこまで作れて、どこから人間の仕事なのか。体験レッスンで、実際に見ていただくのが一番早いと思います。
